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こかげ庵の気まま綴り

共通テスト数学 平均点が赤点レベル。

 

共通テスト数学 平均点が赤点レベル。

 

まずはこちらのニュース。

 

数1・Aの平均点、「過去最低」からさらに下落 (朝日新聞)

 

先日、大学受験生に向けて行われた2021年度共通テスト。

数学のテストは2回ありますが、その一つ(高校1年生で履修する2科目)の平均点が38点

だそうです。。

 

期末テスト等で40点以下の点数は通称”赤点”と呼ばれ、高校では追試や補講対象になりますが、なんと入試の平均点がそのレベルだったことになります。

 

僕も問題が公表されたあとに解いてみました。

で、ちょっと(というか大いに)気になったのが、手間の掛かる計算や作業を含んだ内容が散見されたこと。

 

大問全体としてはどれも数学的な知識や発想を必要とする問題構成でした。

でもその中の設問によっては、答えを出すために最後に待ち構えているのは、桁の多い掛け算や割り算だったり(もちろん電卓無しです)、グラフの細かな点を数える作業だったり・・。

 

これからの大学入試は(ゆくゆくは高校入試も?)こういう方向になっていくんだろうか。。

 

例を挙げると(問題の誘導に従った素直な解き方の場合)

 

・39.3に 29.9を掛けて、735.3で割って、小数第2位までの概数で答える

⇒答えは 0.67

 

・5を8回掛けて1を引いて(この時点で十万単位の数)、2を5回掛けた数で割る(※)

⇒答えは 12207

 

・11を5回、19を1回掛けて1を引いて(この時点で百万単位の数)、2を5回掛けた数で割る(※)

⇒答えは 95624

 

・4つのグラフそれぞれ細かい点を数えて、別の図表と照らし合わせて最適なグラフを選ぶ

 

などなど。・・電卓は使えないので全て手作業です。

 

特に※の計算は、色々と頭を使って解き進めていった最後にこの計算にぶち当たります。

(後述しますが、僕はこの大変な計算はしてません。上の計算は解説サイトに頼りました。)

 

この面倒な作業以外の難易度は例年と変わらない感じでしたので、この異様な平均点の低さは、

・面倒な作業の多さによる細かなミスの頻発

・面倒な作業で疲弊したことによる集中力の低下

が影響しているんじゃないかな・・という気がします。

 

受験生の皆さま、神経をすり減らすような問題への取り組み、本当にお疲れさまでした。。

 

 

さて、ここからは個人的な文句(苦言)です。

 

先のニュースによると、

 

「全体的に暗記型ではなく、日常生活の場面を題材にした問題や、様々な資料や図から複数の情報を読み取って活用する能力を問う点がより明確になっている」

 

とは文科省のお言葉ですが、時間に追われる中でグラフの点を数えたり、電卓を使わずに桁数の多い掛け算や割り算を行う能力を問うのが数学でしょうかね?

 

小学校でプログラミングの基礎を教えている他方で、プログラミングで簡単に処理できる内容を時間内に手作業させる能力を大学受験で問うっていう感覚が僕には分からない。。

 

短い試験で測るべき数学力のなかで最も大事なのは知識発想力論理的な思考力なはず。

 

今回の共通テスト数学の一部の問題は、その大事な部分からそれて、むしろ逆に脳停止状態を誘引しているような気がして残念でならない・・というのが正直な感想です。

 

☆☆☆

 

先ほど挙げた※部分の計算、僕は問題の誘導に従わず、もう少し楽な計算で済む方法はないかと考えて、結果的に別の解き方をしました。

正直、電卓無しであんな計算したくないし、自分の生徒に「こういう解き方もあるよ」と教えたかったので。

 

でもそれは、時間と心に余裕がある状態でじっくり考えられたからできたことであって、
もし自分が実際に試験を受けていたら、解くのをあきらめて回答を飛ばしていたと思います。

 

今回の受験生の中には、最後に変ちくりんな計算に辿り着いたことで「ひょっとして前の方の答えから間違ってる?」と不安になって考え直したりして、焦燥感に駆られながら余計な時間と労力を費やした方も多くいらっしゃったかもしれません。数学が嫌になっちゃいますよね。。

 

数学は本来もっと魅力のある教科なはず。

今度の新高校生から数学の内容が今までと若干変わりますが(※)、今後は勉学にいそしむなかで数学を好きになってくれた受験生さんが存分に力を発揮できる、そういう試験になってくれることに期待したいです。

 

受験生さんが頑張って取り組んできた高等数学、その集大成ともいえる試験なわけですから。

 

 

来年度(2022年度)から高校の授業が新課程に変わります。数学は5科目から6科目に増えて、必修で教わる単元も増えそうです。ちょっと難しくなるかも。。

 

 

☆追記(2022.7.9)☆

 

共通テスト数学難化の外部評価受け、文科大臣「良問の作成に努めて」 (リセマム)

 

「『数学I』『数学I・数学A』においては時間配分、計算量の多さについて課題がみられたといった評価がされた」

「評価を踏まえて、大学入試センターにおいて今後さらなる良問の作成に努めていただきたい」

 

専門委員会にて、僕が感じていたことと概ね同じような評価がなされたようで、ひとまず良かったです。

受験生にとっては取り戻すことができない大事な大事な本番勝負の場なわけですから、「今回の問題は失敗でした」といったことがないようしっかり精査して改善していただきたいです。